活用事例2026年10月15日

社内の質問対応を、AIで月20時間から6時間に。就業規則やマニュアルを読ませて「社内の質問係」をつくる方法

就業規則や手順書を読ませたAIが、社員の質問に根拠つきで答えるイラスト

「有給の申請はいつまで?」「出張の日当はいくら?」「この機械の段取りの手順は?」。総務や現場のリーダーのもとには、毎日のように同じような質問が届きます。答えは就業規則やマニュアルに書いてあるのに、探すのが大変で、結局だれかに聞くことになる。この記事では、社内の規程やマニュアルをAIに読ませて、「社内の質問係」をつくる方法をモデルケースで紹介します。

会社
F工業/地方の金属加工会社(製造業)
規模
従業員40名(うち総務2名)
困りごと
社内からの問い合わせが月約120件。総務が1件約10分かけて規程を調べて答えていた
対象の業務
社内の問い合わせ就業規則作業手順書
使ったもの
就業規則・各種規程・作業手順書(PDF・Word)、AI「Claude(クロード)」の法人向けプラン

困っていたこと

  • 問い合わせ対応に月約20時間
  • 同じ質問がくり返される
  • 新人が聞きにくい

やったこと

  • 規程とマニュアルを整理
  • AIに読ませて質問係に
  • 答えには根拠の条文を表示

変わったこと

  • 総務の対応が月約6時間に
  • 社員が自分で調べられる
  • 年約42万円分の時間が浮く

社内の質問対応が大変な理由

F工業の総務には、勤怠・休暇・経費精算・福利厚生など、さまざまな質問が届きます。1件ずつは小さなことでも、そのたびに手が止まり、本来の仕事が進みませんでした。

同じ質問がくり返し毎年・毎月、同じ時期に同じ質問が届く
どこに書いてあるか分からない規程やマニュアルがあちこちに分かれていて、探すのに時間がかかる
新人が聞きにくい「こんなことを聞いていいのか」と遠慮して、自己流で進めてしまう

「社内の質問係」をつくる5ステップ

新しいシステムを作る必要はありません。法人向けのAIには、資料をまとめて読ませておき、それをもとに答えてもらう機能があります。大切なのは、読ませる前に資料を整えておくことです。

  1. 資料を集める規程・マニュアル
  2. 古い内容を整える最新版だけにする
  3. AIに読ませる答え方のルールも
  4. 社員が質問スマホやパソコンで
  5. 定期的に更新改定したら差し替え
同じような質問が次々と届き、対応に追われる総務担当者のイラスト
これまで電話やチャットで質問が届くたびに、規程を探して答える。
社員の質問はAIが先に答え、落ち着いて仕事ができる総務担当者のイラスト
AI導入後まずAIに聞いてもらい、総務は判断が必要な質問だけに答える。

根拠を示して答えてもらうのがコツ

AIの答えをそのまま信じてよいか不安なときは、「どの規程の何条に書いてあるか」も一緒に答えてもらいます。根拠が分かれば、社員も総務も安心して使えます。

社員の質問に、AIが社内規程の条文を示して答える画面のイラスト
答えと一緒に、根拠の規程名と条文を示す
ここがポイント

いちばん手間がかかり、いちばん効果があるのが「資料の整理」です。古い版の規程が混ざっていると、AIは古い内容で答えてしまいます。この機会に、社内の規程やマニュアルの最新版を1か所にまとめるだけでも、大きな前進です。

AIへの指示の例

資料と一緒に、AIに「答え方のルール」を最初に伝えておきます。

AIへの指示(例) あなたはF工業の「社内の質問係」です。添付の就業規則・各種規程・作業手順書だけをもとに、社員の質問に答えてください。 ルール ・答えの最後に、根拠となる資料名と条文(ページ)を必ず書いてください ・資料に書かれていないことは推測せず、「資料に記載がないため、総務にご確認ください」と答えてください ・個人の給与・評価・健康に関わる相談には答えず、総務への相談を案内してください ・やさしい言葉で、短く答えてください

どれくらい時間が減ったか

社内からの問い合わせ月約120件のうち、規程やマニュアルを見れば分かる質問の多くを、AIが先に答えるようになりました。

項目これまでAI導入後
総務が答える問い合わせ月約120件月約35件
総務の対応時間月約20時間月約6時間

人件費込みの時給2,500円で換算すると、総務だけで年約42万円分の時間です。質問する社員側の「探す時間」「待つ時間」は含めていません。時間は当社の試算で、規程の量や質問の内容によって変わります。

数字以上に大きいのは、新人や若手が「聞きにくいこと」を気軽に調べられるようになったことです。夜や休日でも答えが分かるため、翌朝まで仕事が止まることも減りました。

注意点と、人が答えるべきこと

失敗例古い規程や下書きを混ぜたまま読ませる

避け方最新版だけを集め、改定したら必ず差し替える担当を決める

失敗例給与や評価、健康の相談までAIに答えさせる

避け方個人に関わる相談は、AIが総務へ案内するように指示しておく

失敗例個人のAIアカウントに社内規程を入れる

避け方会社で契約した法人向けプランを使い、社内ルールに沿って使う

よくある質問

AIが間違った答えをすることはありませんか?

あります。そのため、答えに必ず根拠の資料名と条文を示させ、資料にないことは「総務に確認してください」と答えるように指示します。重要な判断は、根拠の条文を見て人が確認します。

社内規程をAIに読ませても大丈夫ですか?

法人向けプランでは入力内容がAIの学習に使われない設定になっています。どの資料を読ませるか、だれが使えるかを社内ルールで決めて使うことをおすすめします。

紙のマニュアルしかない場合はどうすればよいですか?

スマホやスキャナーで読み取ってPDFにすれば使えます。古い内容が混ざっていないか、この機会に見直すことをおすすめします。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

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