活用事例2026年10月15日

点検報告書の作成を、AIで月45時間から18時間に。写真と音声メモから、お客様に伝わる所見の文章まで

点検の写真・点検表・音声メモから、AIが点検報告書の下書きを作るイラスト

ビルメンテナンスの現場では、点検が終わってからが本番、という声をよく聞きます。写真の整理、点検表の転記、お客様に伝わる所見の文章づくり。点検そのものより、報告書づくりに時間を取られている会社は少なくありません。この記事では、点検報告書の作成をAIで短くする方法を、モデルケースで紹介します。

会社
Dメンテナンス/地方都市のビルメンテナンス会社(設備点検・清掃)
規模
従業員18名、点検先 約60物件
困りごと
点検報告書を月に約60件作成。1件あたり約45分かかり、点検員の残業の原因になっていた
対象の業務
点検報告書所見の文章お客様への提出
使ったもの
スマホのカメラと音声入力、今の点検表(Excel)、AI「Claude(クロード)」

困っていたこと

  • 報告書づくりに月約45時間
  • 書く人で文章がバラバラ
  • 点検後の残業が続く

やったこと

  • 写真と音声メモをAIに渡す
  • 所見の文章をAIが下書き
  • 用語集とひな形をそろえる

変わったこと

  • 作成が月約18時間に
  • 文章の質がそろう
  • 年約81万円分の時間が浮く

点検報告書づくりが大変な理由

Dメンテナンスでは、空調・給排水・消防用設備などの点検を、点検員が物件ごとに行っています。点検自体は手慣れたものですが、事務所に戻ってからの報告書づくりが負担になっていました。

写真の整理1物件で数十枚。どの写真をどこに貼るか選ぶだけで時間がかかる
文章づくり「異常なし」以外の所見を、お客様に伝わる言葉で書くのが難しい
書き方がバラバラ点検員ごとに表現や詳しさが違い、事務所で直す手間がかかる

とくに時間がかかるのが「所見」の文章です。現場では「ポンプ少し異音」で通じても、お客様には「何が、どの程度で、どうすればよいか」が伝わる文章にしなければなりません。

AIを使った新しい流れ(5ステップ)

点検のやり方も、報告書のひな形も変えません。変えるのは、点検員が「書く」かわりに「撮って、話す」ことと、文章の下書きをAIに任せることの2つです。

  1. 写真と点検表いつもどおり記録
  2. 音声でメモ気づいたことを話す
  3. AIが下書き所見と報告文
  4. 担当者が確認数値と判断を見る
  5. お客様へ提出いつもの形式で
夜遅くまで写真を整理して点検報告書を書く担当者のイラスト
これまで点検後に事務所で写真を選び、所見を一から書く。夜までかかる日も。
AIが作った報告書の下書きを確認するだけになった担当者のイラスト
AI導入後AIの下書きを見て、数値と判断を確認し、必要なところだけ直す。

現場のメモが、お客様向けの文章になる

点検員は、気になったことをスマホに話しておくだけです。短いメモでも、AIがお客様向けのていねいな所見に整えてくれます。

現場の短いメモを、AIがお客様向けのていねいな所見文に整えるイラスト
現場の短いメモから、伝わる所見の文章へ
ここがポイント

よく使う言い回しや、会社として使ってほしい用語(「軸受」「経年劣化」など)を「用語集」にまとめ、毎回AIに渡すと、誰が書いても同じ調子の報告書になります。ベテランの書き方を見本として1件渡すのも効果的です。

AIへの頼み方の例

AIへの頼み方(例) 添付の点検表と、点検員の音声メモ(文字起こし)をもとに、点検報告書の「所見」欄の文章を作ってください。 ルール ・お客様(建物のオーナー様)が読んで分かる、ていねいな言葉にしてください ・「何が」「どの程度」「どうすることをおすすめするか」を必ず入れてください ・点検表に書かれていない数値や判断は、付け加えないでください ・判断に迷う箇所は【要確認】と書いて、点検員に確認する点を示してください ・添付の用語集の言い方に合わせてください

AIの下書きには、点検表にない内容が混ざることがあります。上の頼み方のように「付け加えない」「迷ったら【要確認】」と決めておくと、確認がぐっと楽になります。

どれくらい時間が減ったか

点検報告書を月に約60件作るとして試算すると、次のように変わります。

作業これまで(時間/月)AI導入後(時間/月)
写真の整理・貼り付け155
所見・コメントの文章づくり206
書式の調整と見直し107
合計4518

人件費込みの時給2,500円で換算すると、月約6.7万円、年約81万円分の時間です。時間は当社の試算で、物件の種類や報告書の形式によって変わります。

時間だけでなく、「誰が書いても同じ品質の報告書になった」ことも大きな変化です。お客様から「前より分かりやすくなった」と言われることが増え、改修工事のご相談につながるきっかけにもなります。

注意点と、人が判断すべきこと

失敗例AIが書いた所見を、そのまま提出する

避け方数値・判定・おすすめの内容は、必ず点検員か責任者が確認する

失敗例法定点検の判定(適・不適など)までAIに決めさせる

避け方判定は有資格者が行う。AIは文章を整えるだけ

失敗例お客様の建物名や住所を、個人のAIアカウントに入れる

避け方会社で契約した法人向けプランを使い、社内ルールに沿って使う

よくある質問

点検報告書をAIに全部任せても大丈夫ですか?

おすすめしません。AIには所見の文章の下書きや書式の整理を任せ、数値・判定・おすすめの内容は、点検員や責任者が必ず確認する分担が安全です。

今の報告書のひな形は使えますか?

使えます。今お使いのExcelやWordのひな形に合わせて、AIに文章を作らせることができます。ひな形を変える必要はありません。

ITが苦手な点検員でも使えますか?

現場でやることは、写真を撮ることと、スマホに話しかけることだけです。文章を書くより楽になったという声が多い使い方です。

※本記事の会社名・数値は、導入の流れを説明するためのモデルケースです。

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